新居は全館漆喰塗りまちた
漆喰を塗る作業は、肉体労働であると同時に、細かい計算と保管のノウハウが必要な地道な作業でした。
今回は真っ白になりすぎないように、粉漆喰1kgに対して水600g、そこにアンバーの着色料(顔料)を5gだけ混ぜるという「顔料比率0.5%」の調合を行いました。この少量の顔料を毎回キッチリ計量するのがとにかく邪魔くさく、メルカリで買った中古のはかりを使って調合していました。
レクサスに乗ったお兄さん
まだ2歳の幼い娘と手をつなぎ、メルカリで購入したはかりの受け渡しに行くと、全身入れ墨の入った優しいお兄さんがレクサスに乗って現れ、手渡ししてくれたのを覚えています。ちょっと怖かったです。
塗装作業で一番苦労したのは「養生」でした。 養生テープの幅も、最初はどれがいいか分からず、15mm、18mm、30mm、55mmと色々なサイズを買って試行錯誤しました。結果的に、コスパと使い勝手のバランスから「18mmと30mm」の2種類に絞るのがベストだという結論に至りました。とにかく養生テープはアホほど使うので、この見極めは重要でした。
太陽光パネルの電力管理機器の周りや、トイレの壁、階段の幅木の部分などは、頭をこすりつけながら厳密にテープを貼りました。
また、階段の吹き抜けなど狭くて高い場所での作業を効率化するために、自分の装備も開発しました。 マグネットリリーサーを取り付け、スリング(紐)のように部材を背負えるようにし、狭いところまでキッチリ塗るためのヘラや、ホコリを掃除するためのブラシをすぐに取り出せるようにしたのです。
一番役に立ったのは、100均で買ったプラスチックのカゴです。 もともとはプロの職人さんに振る舞うためのお菓子を入れていたカゴだったのですが、それを再利用して手提げの「作業用腰袋」のようにして持ち運びました。プロの職人さんのように、必要なものが常に定位置に固定されていて、体勢が変わってもスッと取り出せるというのは、過酷な現場で体力を温存するために非常に効果的でした。
有害物質扱いである
漆喰は強アルカリ性なので、肌に触れると荒れます。最初は有害物質の塊のように慎重に扱っていて、体に少しでも付着したらヒステリックになって洗い流していましたが、後半になると完全に麻痺して、多少膝で踏んづけて服についても「まあいいか」とアジャストしていく自分たちがいました。
一番大変だったのが、階段の吹き抜けや天井付近などの高い場所の塗装です。我が家にはプロが使うような足場はないし、大きいはしごもありません。脚立すら入らない狭い高所を塗るために、最終的には壁のわずかな出っ張りを生かして、木材で即席の空中足場を組みました。
かなりの高度感と緊張感の中で、落ちたら大怪我というスリルと戦いながらコテを動かしました。
また、週末の作業が終わったあとに余った漆喰の保管にも工夫が必要でした。炎天下の室内に数週間置きっぱなしにすると乾燥して固まってしまいます。そこで、漆喰をケーキの生クリームのチューブのようにビニール袋に詰め、先を丸めてバケツの中に沈めて密封保管したところ、2〜3週間経っても水分が保たれ、無駄にせず使い切ることができました。
ミニオンの無限ループ
リノベーション作業のピークだった1月や2月は、毎週末が本当に過酷でした。 作業ができるのは土日だけ。当時まだ3歳と2歳だった子供たちを車に乗せて、朝から晩まで現場に通い詰めました。
親は漆喰を練って壁に塗り、タイルをカットして粉塵まみれになっています。当然、小さな子供にとっては退屈で危険な場所です。
子供たちが邪魔にならないよう、そして退屈しないよう、車の中ではタブレットを持たせて『リトルマーメイド』と『ミニオン』の動画を、毎週毎週、文字通り無限にリピート再生して見せていました。お昼ご飯も夜ご飯も、現場近くのだいたい同じような店で済ませるという、完全にルーティン化されたサバイバル生活です。
親の都合に付き合わせて申し訳ないなと思う反面、作業中に子供がちょこちょこと邪魔しにきて、一緒に接着剤のついたタイルを触ったりした経験は、悪くないなとも思っています。
出来上がった綺麗な家に住むだけじゃなく、家というのは自分たちの手でドロドロになりながら作るものなんだという姿を見せられたこと。親が必死に現物合わせでジタバタしている姿を間近で見たことが、彼らのこれからの生きる力に少しでも繋がってくれたらいいなと思っています。
終わらない
壁の漆喰(大和漆喰)は、最初はネットで安く買えるルートを探して手配していました。ですが、後からホームセンターのプロ向けコーナーを覗いてみたら、ネットよりも遥かに安い価格で大量に出品されていて、開いた口が塞がりませんでした。下手にネットの情報を信じるより、現場のプロショップの方が安いです。
漆喰は最初、ビニール袋に入れて足踏みや手揉みで練っていました。攪拌機なんていらんわと人力でせっせとやっていましたが、とにかく筋力を使うし、毎回計量するのが邪魔くさくて仕方がありませんでした。
11月中旬の時点で、生活の主要な2階と階段はなんとか塗り終えたものの、1階の広大な未開拓エリア(廊下や和室)がグレーの下地のまま手つかずで立ち塞がっており、スケールの大きさに絶望していました。
そこで、以前メルカリで1万円で買ったまま眠らせていた攪拌機を引っ張り出してきました。ただ、我が家には対応する200Vのコンセントがいまはありません。仕方がないので、エアコン用のコンセントから配線を無理やり伸ばして和室で回したところ、爆速で漆喰が練り上がりました。今までの足踏みの苦労は何だったんだというレベルです。
養生にも手痛い失敗がありました。漆喰の厚みを考えて5ミリほど余分に隙間を空けてテープを貼るべきだったのですが、よく分からず2ミリしか空けていなかったため、テープを剥がすときに漆喰まで一緒にベリベリと剥がしてしまい、補修に泣かされました。
今回はこのあたりで。 今日も楽しみましょう。